競馬必勝法の探索 5
前回のコラム(競馬必勝法の探索4)までで必要なデータやソフトウェアなどが全てセットアップできました。今回からいよいよ必勝法の探索に進んでいきましょう。
今回から数回にわけて行う調査は「オッズの効率性」についてです。
…っと、効率性などという聞きなれない言葉をいきなり出してしまったかもしれませんね。これは金融工学で使われる専門用語で、元々は株式市場についての研究が発展していく中で発明された「効率的市場仮説」という考え方に由来する言葉です。効率的市場仮説(Efficient Market Hypothesis, EMH)によれば、株式市場は証券分析のプロフェッショナルが収益機会を鵜の目鷹の目で狙っており、ほんの少しでもお買い得な株式があれば皆が瞬く間に買いあさる、結果その株は値上がりし収益機会は消滅してしまう、という考え方です。
株式市場に関するEMHの考え方について突っ込んだ解説をすることは別の機会に譲ります。ここでは、この考え方を競馬場に適用してみましょう。馬券を買う人は常に馬の勝率とオッズを見比べています。そして、勝率に比べてオッズがほんの少しでも有利な馬券があれば皆が売り場に殺到し、その馬券を買いあさる。その結果オッズは馬券の勝率に見合う値になるまで下がってしまう、という状況が達成されていれば「効率的馬券売り場」になっていると言って良いでしょう。
完全に効率的な馬券売り場では「全ての馬券には勝率に見合うだけのオッズがついている」はずであり、オッズ×勝率 は常に一定値になるはずです。JRAが手数料を取らない場合には オッズ×勝率 は常に 1 になるでしょうし、現実の手数料の場合には 0.8(単勝/複勝馬券) もしくは 0.75(それ以外) となるはずです。
実は金融工学者(クォンツ)が stat arb の手法を用いて投資対象を攻略しようとする場合、最初に気にするのがこの「効率性」というものなのです。なにしろ完全に効率的な投資対象であれば、そもそも収益機会は残っていませんからそれ以上研究を進めていく意義が薄れてしまいます。私たちも無駄な探索を行って貴重な人生を無駄にしない(笑)ためには、まず馬券売り場がどの程度効率的なのかを知っておく必要があるでしょう。
次回は統計ソフトを実際に使用しながら、オッズの効率性を調査して行きましょう。
お楽しみに!