2007/8/31 金曜日

競馬必勝法の探索 7

Filed under: 金融工学よもやま話 — i @ 12:20:14

金融工学を駆使した競馬必勝法の探索、第7回目です。

前回までの探索で明らかになったのは「オッズは効率的ではない」ということでしたね。これは私たちにとって非常な朗報で、馬券を買う人たちは決して理性的な投資家などではなく、一定の傾向で誤った賭け方をしていること、従って競馬に必勝法が存在する可能性があることを示しています。もちろん JRA が徴収する手数料は 20%~25% と非常に大きいため、それ以上に大きく儲ける手段を見つけられなければ実際には必勝法とは呼べません。しかし、非効率がこんなに簡単に見つかったということは、まだまだ巨大な非効率があちこちに隠されている予感がします。今の段階では前途は有望であると言ってよいでしょう。

さて、前回の探索では「オッズの非効率」の他に「穴馬のオッズが小さすぎる」(=勝率の割に皆がこぞって穴馬の馬券を買いたがる)ことも判明しました。この発見は今後の戦略を決める上で極めて重要なものだと思いますので、ここで一度理由を考察しておきましょう。(ギャンブラーの気持ちが理解できればギャンブラーを出し抜く方法も見つけやすくなる、とでも言っておきましょうか)

何故、勝てもしない穴馬の馬券を皆がこぞって買いたがるのでしょうか?

いくつかの理由が考えられます。一つは単純に「ギャンブルしにわざわざ競馬場に来ているのだから、誰もが一攫千金を夢見ている」ということでしょうか。競馬をやる同僚達の行動を見ていて気がついたのは、皆あらかじめ予算を決めておいてその範囲で賭けている、ということです。つまり、競馬資金については皆「心の会計」として別会計にしていて、無くなってしまっても良い資金であると見なしていることを示しています。そのため「どうせ無くなるのであればどかんと一発大きく当てたい」と考える傾向、すなわち巨大なリスク選好があったとしても不思議はありません。

ただ、前回の探索で明らかになったように「オッズは1~30倍程度までは比較的効率的で、そこから急激に非効率が拡大」しています。リスク選好だけが非効率の理由なのであれば、オッズの非効率はだらだらと右肩下がりのようなグラフになっても良いように思います。そのようなグラフにならない理由が、もしあるとすれば、「人間の認知能力に限界がある」ことが影響を与えている可能性が考えられます。

これはどういうことかと言いますと、人間は「極まれにしか起こらない事象の発生確率を正確に評価できない」可能性がある、ということです。競馬を良くやる人であれば、本命馬の勝つ確率が2回に1回なのか、あるいは3回に1回なのか、かなり正確に予測できるかもしれません。しかしこれが穴馬になりますと、ある穴馬の勝つ確率が50回に1回なのか、75回に1回なのか、はたまた100回に1回なのか正確に予測できる人はいないと言って良いのではないでしょうか。そうであれば、人間の認知能力の下限のオッズのところで急激に非効率が大きくなるのは特に不思議なことだとは言えなくなってきます。

つまり勝った時に得られるリターンはオッズを見れば明確に知ることができるのに対して、その馬が実際にどれだけの確率で勝てるのかは曖昧にしか認識できないわけです。しかもその掛け金は「ギャンブルのために用意した、無くなっても良い資金」として「心の会計」上、通常のお金とは別会計になっています。この状況では、不利な事に気がつかずにどうしても穴馬に賭けたくなる心理が働いたとしても無理はありませんよね。実は競馬を初めてやった私も(そしておそらくは経験豊富な同僚達も)競馬資金のほんの一部を大穴馬券につぎこんでみていました。結果は…言うまでもありません(笑)

以上の考察は今のところ全くの仮説であり、今後、調査を進めていくことにより覆される可能性はあります。しかしながらこの「人間の認知能力には限界がある」という考え方はとても便利なもので、この観点から物事を眺めると、競馬には実はもう一つ巨大な非効率が隠されている可能性が見えてきます。そこを攻め落とすことが本コラムの基本的な主題となるのですが、それにつきましてはしばらく後で解説をすることにします。次回は…久しぶりに同僚に誘われてトゥインクルに行って参りましたのでその報告(と反省会)をすることにしましょう。

お楽しみに!

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