2008/3/11 火曜日

平均値の憂鬱 4

Filed under: 金融工学よもやま話 — 雲岡 @ 19:08:20

前回は、平均値は 場合によっては誤解を招くこともある、ということを書きました。

そんな細かい事知らなくても実生活で不便はない、と感じるかも知れませんが、最近ちょっと心配な報道がありました。内閣府が発表している「一人当たり県民所得」(雇用者報酬、財産所得、企業所得を合計して総人口で割ったもの。一概に給与水準を表すものではない。)に関する報道です。東京の一人当たり県民所得が上がる一方、沖縄や東北地方の県等は低いままで、格差が広がっている、と伝えたメディアが一部ありました(全部かもしれません)。格差(きちんとした定義が必要ですが)は広がっているのかも知れませんが、一人当たり県民所得でそれを結論づける事は誤りです。

誤りの理由の一つは、平均値を使っている点です。所得は数百万から多い人では数十億という人もいます。企業の利益も大企業と中小企業では大きな差がありますし、財産所得に関しても地主と私のような小市民では雲泥の差があります。このように大小の差が非常に大きい場合に平均値(県民一人当たりの換算値)を計算しても、大きな値に数字がゆがめられてしまう可能性が高いです。

第二の理由は、一人当たり県民所得では各所得水準の割合の違いを県ごとに考慮していない点です。例えば東京には大企業の社長や芸能人が多く住んでおり、他県に比べて大金持ちの比率が高いと思われます(富裕層の数はベキ乗分布に従っていると言われますが、その話はまたそのうち)。一方、そこまで突出した金持ちはいなくて大体所得水準が同じという県もあるはずです。そのような県を平均値で比較する事にはあまり意味がありません。前回A社とB社を単純に平均値で比較できなかった事と同じ問題です。

内閣府発表のデータには所得水準別のデータがなかったので、詳しい検証はできませんが、東京都の平均所得が高いのは単に大金持ちや大企業が多く、他県で低いのは突出した金持ちや大企業がほとんどいないから、 というのが本当の所だと思います。

今後「平均?」と言った報道や数字を見た時には、極端に大きな数字が混ざっていないか、平均値が意味ある数値なのかどうか疑ってみて下さい。意味のなさそうなものが結構たくさんあると思いますよ。

ちなみに私はフリーター兼、コンサルタント兼、営業兼、米屋兼、 おけさ指導員という職業上、地方都市を訪れる事がよくあるのですが、 広島や熊本や愛媛など行った時には東京なんかよりずっと住みやすそうで豊かそうだなぁ、と思いました。

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